年に一度の大イベント「レザーカービングの実演販売」
15年前から毎年12月の第一土日に「ALBUQUERQUE」が開催しているレザーカービングの実演販売。実演販売を行う店舗は、日本にはほとんどなく職人の掘っている姿を目の前で見ることが出来る非常に貴重な機会である。今回は、花柄主体のカリフォルニアスタイルのレザーカービングの実演販売である。
「ALBUQUERQUE」の一大イベントであり、お客さんの中で「12月の第一土日は、実演販売」という認識が広まり楽しみにしている人も多い。お店の常連さんに加え、遠方からやってくるお客さんも多いのも人気がある証。
また、実演販売時には数量限定特別商品の販売も行っている。値段は、特別価格で通常の3分の1程度であるという。今年は、ペンケースとキーケース。毎年、異なる商品を作っており同じ物は、作らないそうだ。
始めたきっかけ
開業して30年、「これは、何ですか」「削るんですか」との質問が多数あり、手掘りのことをよく知らないお客さんが多いと代表の千葉さんは、感じたという。手掘りのことは、何かしら知っていてもどのように掘っているのか分からない人は少なくないだろう。また、掘るだけでなく周りを叩いて盛り上げることもカービングだと知っている人はほとんどいない。よって、実際に職人がレザーカービングを行っている様子をお客さんに見せた方が良いと感じたことから実演販売を開始した。
また、実演販売時に来る職人の腕が非常に良いというのも理由の一つ。
「ALBUQUERQUE」の職人は、カットからすべて一人でやるそうだ。レザーカービングを行う人はたくさんいるが「ALBUQUERQUE」の職人以上に繊細な人はほとんど存在しない。だからこそ、多くの人に見せてレザーカービングに興味を持ってもらいたいという思いもあったそうだ。
職人と直接打ち合わせできるレザーオーダー
実演販売時にレザーのオーダーも受け付けており、職人とその場で打ち合わせできることが最大の魅力。
レザーのオーダーを希望するお客さんは、細かいディティールまでこだわり、自分の好きなように作りたいという人が多い。リアルタイムで直接職人に話をすべて聞いてもらい、その場で見積もりを出してもらえる。
また、「レザーアイテムは、どんなアイテムでも作れる。レザーのオーダーを断ったことがない。オーダーに合わせて一番合った職人を探して作る。」という「ALBUQUERQUE」のレザーに対しての自信とこだわりが最高級のものを作る本質であることは言うまでもない。
さらに「ALBUQUERQUE」では、オーダーを受けてから最短3カ月から6カ月で仕上げることが出来る。それも実演販売に来る職人をはじめとする職人の熟練されたスキルと経験から成せるものであろう。
そんな真の匠の技にあなたも虜になるはずである。
カービング界最高峰の革
通常のレザーカービングには、一般の革よりも分厚いレザーカービング用の革を使う。
「ALBUQUERQUE」では、カービングの発祥の地アメリカよりハーマンオーク社のカービング用に作られたツーリングレザーを使用。カービングが好きな人にとっては、ハーマンオーク社の革というだけで一つのブランドとして認知されており、カービング界では最高峰といわれる革。他社の革との違いは、カービングした時の掘りやすさ、掘りあがった時の綺麗さ、使い込んだ時のエイジングの違い。色の変化や艶の出方など。一番綺麗にカービングが入る革だそうだ。
職人インタビュー
大塚孝幸
(Taka Fine Leather JAPAN)
1994~1997年まで3年間アメリカで馬の鞍を作る修行に行く。(西部劇でカウボーイなどが乗っているアメリカ式乗馬の鞍)
帰国後、アメリカンレザークラフト工房「Taka Fine Leather JAPAN」を設立。
「日本における本格的アメリカンレザーカービングの第一人者」として世界から高い評価を受けている。
今年、同業者向けにカービングの教本「レザーカービングの技法 タカ・ファインレザー編」を監修した。
始めようと思ったきっかけ
「ファッションの専門学校に通っていた90年代の前半、アメカジブームでそこからウエスタンファッションに興味を持ち、ジーンズメーカーに一度就職する。そこで働いているうちにカウボーイの世界に惹かれ、馬の鞍に興味を持ち、それから革の世界に入っていった。」
仕事のやりがい
「作ること自体が楽しい。自分が作ったものでお客さんが喜んでくれるのがやりがい。食べ物みたいに食べて消えるものではなく、残るもの。5~10年経って、お客さんが良い感じにエイジングしたものを見せてくれるのが嬉しい。」